#2 スクラムイベントの参加のWow!感をUPしよう(その1)

Wow!な開発者になろう-令和4年から始めるアジャイル開発 ホップ・ステップ・ジャンプ&Wow!編

はじめに

このシリーズは、スクラムから始めた開発者が一歩踏み出して、新たなテーマにチャレンジしていくきっかけの問いと、様々なスキルをちょっとづづつ、伸ばすためのヒントを提示してきます。シリーズ趣旨詳細は次をご覧ください。
2回目は、スクラムから始めてた開発者にとっては馴染みのある、スクラムスクラムイベントにフォーカスします。

日本でもだんだんとアジャイルが認知され、Scrumイベントを始めているチームは増えてきました。今日は、スクラムの文脈で開発者の立場で、自分が未知の領域に勇気を出して小さな一歩を踏み出し、のびのびと振る舞えているかの確認するチェックリストを作ってみました。

今日のキーワードは心理的安全性※とHRT原則※です。網羅的なチェックリストではないですが、開発者が自身の活動を見返すのにご活用ください。今日はパート1ということで、プランニングとデイリースクラムに絞ります。

スプリントプランニング時の開発者の振る舞い

スプリントプランニングはPOやベテランエンジニアの一方的な指示命令で仕事に取り組むのではなく、意思決定の会話に参加していく度合いを増していくことが大事です。

  • プランニング中、作る理由や何を作るか等、わからないこと疑問に思ったことを、気兼ねなくと質問している(知らないことを恥じるや非難されることはない)
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • プランニング中、メンバーからの質問には親切に回答している。(知識の差でマウントを取ることはない。)
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • スプリントバックログ(タスクボード)で、仕事の終わらせる段取りを相談し合うことで、スプリントゴール達成の確信が増している(1,2,3,4,5,6,7)
  • 選択したスプリントバックログの量は妥当だ。時間プレッシャーの不安に押しつぶされることはない。(1,2,3,4,5,6,7)
  • 開発者ならではのPBIの提案をしている(例:技術Aを使った価値提案、抜け漏れの指摘、ビジネス側にもインパクトがある技術課題の提示)
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • スプリントゴールを実際に声に出すとワクワクし、本スプリントに参加することがとても楽しみである
    (1,2,3,4,5,6,7)

1全く当てはまらない、4どちらでもない、7とても良く当てはまる

アジャイルが得意とされる不確実性のある仕事に取り組んでいるなら、知らないことも多々あり全てが計画通りに進むことはありません。プランニングには、期待と不安が入り混じった感情が湧き上がってくるのが自然でしょう。

もしプランニングで不安に押しつぶされそうに感じているなら、わからないこと、不安をチームメンバーに伝えて、計画に反映しましょう。まだチーム全体の前で自然と発言することにハードルを感じているようであれば、まずは特定の同僚やSMに相談するのがお勧めです。

また、発言や開発に慣れてくれば開発者としてプランニングの場に参画することのワクワク感、チャレンジ感が増すように、エンジニアならではの提案を増やしてみましょう。

デイリースクラム中の開発者の振る舞い

デイリースクラムは、一人では難しいスプリントゴール達成に向けてチームの助け合い&創造的なチーム活動が発生しているか否かが一つキーになってきます。

  • 開発中の困りごと、わからないことについてオープンにチームメンバーに話せている
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • 他人の困りごとを親身になって聴いて、支援している
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • 計画時に予期できなかったことを発見したとき、成長の機会として歓迎している
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • スプリントゴール達成に向けて得られた学びをもとに計画をアップデートしている
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • 選択したPBIが完成できそうにない場合は、スプリントゴール達成に即して、スプリント期間内に完成させる項目をPOに相談や提案をしている
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • 長引くようであれば、関係者を絞って、図解しながら問題点と解決案を整理している
    (1,2,3,4,5,6,7)
  • 実現案の意見が対立しても HRT原則を守って話し合い、チームでよりGoodな意志決定と実行を維持している
    (1,2,3,4,5,6,7)

1全く当てはまらない、4どちらでもない、7とても良く当てはまる

デイリーでは計画外の出来事があっても、心理的安全性※がある状態を保って、安心して相談できる場づくりが大事で、聞き手側の振る舞いも重要になってきます。普段使っている言葉づかいのほか、視線や相槌やうなづきのテンポやボディランゲージが話やすい振る舞いなのかふりかえってみましょう。役職による権威的な態度、知識を持っていることをひけらかしなども厳禁です。

お互いが思ったことを自然と話せるようになれば、お互いの意見がコンフリクトするようになることも自然です。多様なチームメンバーによる健全なコンフリクトは、チームで創造的に仕事に取り組む際に大事な出来事です。コンフリクトが発生しても、感情的な個人攻撃には陥らずHRT原則※を守って、落ち着いてナチュラルに意見交換を重ねて、トレードオフ&トレードオンの意思決定と実行を素早く繰り返します。集団での意見と取りまとめは、図解による整理やファシリテーションの技法が役立ちます。

心理的安全性: 対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え
HRT原則: 「謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)]

心理的安全性とHRT原則参考文献

ソフトウェア開発の文脈で心理的安全性&HRT原則を1冊だけで知りたい!と思った時は、Googleのソフトウェアエンジニアリングの2章、3章をお勧めします。プログラマーであれば、エンジニアらしい文体で受け入れやすいと思います。

HRT原則に絞るなら定番書が次です。

上のチェックリストはきっかけです。新たなチャレンジ行動をきっかけとなる問いを一つにまとめると次になります。

「スクラムイベントの際、開発者である私たちはどんな風に参加すれば、恐れや不安に押しつぶされず価値づくり・ものづくりに熱中して取り組めるようになるだろうか?」

後半につづく

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